非常灯・非常用照明器具 設置基準・ポイント
非常用照明器具とは
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非常用照明設備とは、火災などの災害発生時に起きる停電の際にできるだけ安全かつ円滑に避難できるように居室や避難通路に設ける照明設備であり、建築基準法により設置が義務付けられています。
地震や火災をはじめとした様々な災害は、私たちの生活には身近に起こりうる事です。
ここでは、非常用照明器具についての基礎知識のほかに、設置の方法、設計について詳しくご説明します。
非常用照明器具の種類と構造 |
非常用照明器具には、非常時に内蔵する蓄電池により点灯する“電池内蔵形”と器具外の非常用電源により点灯する“電源別置形”の二種類があります。
また、それぞれ、一般照明としても使用できるほか、非常時には蓄電池または非常用電源により点灯する“併用形”と、非常時のみに蓄電池または非常用電源により点灯する“専用形”があります。
電池内蔵形非常用照明器具(小形ミニハロゲン非常灯:専用形)の特長
. 器具内に組み込まれた蓄電池(密閉形ニッケルカドミウム)を使用。
. 非常点灯の点検が行いやすいように点検スイッチがついている。
. 蓄電池が充電されているのが確認できる充電モニターがついている。
. 電池が放電しても通電後に自動的に充電する。
小形ミニハロゲン非常灯
構造図
非常用照明器具の配置 |
非常用照明器具の設置を義務付けられている場所は、「非常用照明器具の設置基準」でみられるように、主に不特定多数の人が利用する建築物や、大規模な建築物、無窓の居室を有する建築物の居室・避難通路等になります。
その必要照度と設置間隔は、30分間非常点灯後、床面の水平面照度が白熱電球1lx、蛍光灯で2lx以上となるように設置します。
器具ごとの配置表の設置間隔は、各天井高さ(器具取付け高さ)に対して床面1lx(蛍光灯2lx)が得られる最大範囲及び器具最大取付け間隔を、単体配置、直線配置、四角配置で示しています。なお、設置間隔のデータは、下表のように保守率と光束換算係数を見込んで算出しています
器具の種類 |
非常用光源の種類 |
電源方式 |
設計値 |
初期照度 |
設計照度 |
保守率 |
光束換算係数 |
露出形 |
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蛍光ランプ |
電源内蔵 |
2lx |
0.7 |
1.0 |
2.8lx |
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白熱電球 |
電源別置 |
1lx |
0.88 |
0.7 |
1.7lx |
下面開放形 |
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蛍光ランプ |
電源内蔵 |
2lx |
0.7 |
1.0 |
2.8lx |
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白熱電球 |
電源内蔵 |
1lx |
0.79 |
1.0 |
1.3lx |
電源別置 |
0.7 |
1.8lx |
簡易密閉形
(下面カバー付) |
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蛍光ランプ |
電源内蔵 |
2lx |
0.66 |
1.0 |
3.0lx |
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白熱電球 |
電源内蔵 |
1lx |
0.74 |
1.0 |
1.4lx |
電源別置 |
0.7 |
2.3lx |
ここでは小形ミニハロゲン非常灯(専用形)を例に、単体配置、直線配置、四角配置についてご説明します。
小形ミニハロゲン非常灯(専用形)
使用器具・・・ハロゲン13W非常灯(電池内蔵)
器具取付高さ・・・2.6m
単体配置
各天井高(器具取り付けの高さ)に対して、1 lxが得られる範囲をA1(半径)で表しています。
直線配置
各天井高(器具取り付け高さ)に対して、幅2mの廊下の壁際の合成照度が1lx以上になるための最大取付け間隔をA2で示しています。
四角配置
各天井高(器具取り付け高さ)に対して、照明器具の対角線の交点の合成照度が1lx以上になるための最大取付け間隔をA4で示しています。
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